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昨今さまざまな食品の値上げが続き、家計への負担は増すばかりです。そんな中でも家族の健康維持のためには、ただ安いだけでなく、栄養価の高い食材・レシピ選びは欠かせません。そこで今回は、安くてボリューム満点、栄養価も抜群という条件を叶えてくれる、コストパフォーマンス抜群な豚肉と野菜に注目。賢い買い方・使い方のコツや、豚肉と野菜を組み合わせたハイライフポークおすすめレシピをご紹介します。
豚肉ってコスパ食材なの?
100gあたりの単価で考えると、豚肉は魚介類と比べて圧倒的に価格が安く、リーズナブルな食材といえます。骨や頭尾、貝殻など魚介類には不可食部分が多く、肉類と比べて割高感を感じやすい点も関係しています。
肉類の中では、豚こま肉や豚ひき肉は、鶏むね肉や鶏ささみに続いて安価な部位です。和洋中のどんな料理とも相性が良いため、家計にやさしくコスパの良い食材といえるでしょう。
豚肉の賢い買い方・使い方は?
500g、1kgといった大きめの単位でまとめ買いし、当日調理しない分はその日のうちに冷凍保存しておくのがベストです。ドリップと呼ばれる赤い血のような肉汁をペーパータオルで押さえて拭き取った後、ジップ付きの保存袋に移し替え、できるだけ空気を抜いて保存しましょう。
豚肉に大さじ1〜2ほどの料理酒をもみ込んだり、少量の塩を振りかけたりすることで保存性を高める効果も。また、豚肉に下味をつけて冷凍する「下味冷凍」は、時短につながるだけでなく、肉のパサつきを抑えるメリットもあります。
豚こま肉は安価な一方、肉の切れ端で1枚が薄く小さいため、野菜と一緒に炒めたり、ボール状に丸めて調理したりするのもボリューム&食べ応えアップの賢いアイデアだといえます。
コスパの良い野菜とは?
豚肉などの肉類とは異なり、野菜は旬の時期によっても価格が大きく変動します。野菜のコストパフォーマンスを測る視点として、以下が挙げられます。
▼価格
年間を通じて流通している野菜は、価格変動が比較的少なく、安価な上に購入にかかる時間・距離も抑えられることからコスパが良いといえます。具体例としては、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、もやし、豆苗、きのこなど。どこのスーパーでも手に入り、年間を通じて価格が一定なものです。
▼使い勝手
切る、皮を剥くといった作業が発生しない使い勝手の良さも、コスパを測る視点の一つです。例えば、もやしは1袋200gが20〜30円程度から手に入るだけでなく、袋を開けたらそのまま調理に使えるという便利さがあります。また、価格だけを見ると割高なカット野菜も、そのまま調理に使えて時短につながる意味ではコスパの良い食材といえます。
▼ボリューム
キャベツ、白菜、大根といった野菜一つあたりのサイズが大きいものは、100gあたりの単価も安くなるため、コスパが良いといえます。
▼季節性と栄養価
価格やボリューム感に加えて、季節性を意識することも日々の食卓の楽しみを考える上では大切です。旬の野菜は供給量が多いため価格が安くなる上に、栄養価も高くなります。例えば、ほうれん草の旬は冬。夏採れのほうれん草に比べて、冬採れのほうれん草は100gあたりのビタミンCが約3倍多く含まれています。
以上4つの視点を考慮すると、コスパの良い野菜として以下が挙げられます。
淡色野菜:もやし、キャベツ、大根、白菜、きのこ
緑黄色野菜:人参、ピーマン、トマト、ニラ、小松菜、豆苗
野菜の種類 | 100gあたりの価格目安 | 購入時の可食部の重さ | 緑黄色野菜 | |
もやし | 10円 | 1袋 | 200g | × |
キャベツ | 16.6円 | 1玉 | 1200g | × |
大根 | 20円 | 1本 | 1000g | × |
きゅうり | 40円 | 1本 | 100g | × |
人参 | 50円 | 1個 | 120~180g | ◎ |
ズッキーニ | 50円 | 1個 | 180g | × |
なす | 50円 | 1個 | 100g | × |
小松菜 | 50円 | 1束 | 200 | ◎ |
ピーマン | 80円 | 1個 | 40g | ◎ |
トマト | 98円 | 1個 | 100~140g | ◎ |
ニラ | 100円 | 1束 | 110g | ◎ |
ごぼう | 100円 | 1本 | 200g | × |
しめじ | 100円 | 1袋 | 100g | × |
南瓜 | 100円 | 1カット | 200g | ◎ |
豆苗 | 100円 | 1パック | 85g | ◎ |
パプリカ赤・黄 | 120円 | 1個 | 135g | ◎ |
※重さ参考 https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/basic/ingredients_bunryou/
※値段参考 https://onedannote.com/
上記の表は、各野菜の可食部の重さを元に100gあたりの価格目安を算出し、安い順番に上から並べたものです。安さだけで選んでしまうと、淡色野菜(もやし、キャベツ、大根、白菜など)に偏りがちになるため、ビタミン類を豊富に含む緑黄色野菜の中でもコスパの良いものは何か?という視点を持っておくことも大切です。
コスパ野菜の解説とおすすめレシピ
ここからは、コスパの良い野菜それぞれの特徴や保存方法、豚肉と組み合わせたおすすめレシピを順番にご紹介します。
もやし
ほかの野菜と比べて圧倒的に安価なもやし。傷みやすく足が早いため、新鮮さをキープするには、タッパーにもやしが隠れるくらいの水を張り、もやしを水に浸した状態で冷蔵保存します。3日に一度水を入れ替え、1週間以内に使い切ると良いでしょう。
冷凍保存時には、水には浸けず、冷凍保存用のジッパー付き袋に移し替えて冷凍庫で保存します。1か月以内に使い切るのが目安。購入した袋に入ったまま冷凍するのは、霜がつきやすいため好ましくありません。冷凍したもやしは離水しやすいため、解凍せずに冷凍状態のまま加熱調理しましょう。
もやしに含まれるビタミンCと、豚肉に含まれるビタミンB1は、どちらも疲労回復効果が期待できる栄養素です。もやしと豚肉を一緒に摂ることで、その疲労回復効果をより得られやすくなります。ハイライフがおすすめする「豚肉×もやし」レシピは以下の3点です。
リピ決定!便利な肉味噌で無限もやし
もやしが無限に食べられる、肉感たっぷりのやみつきレシピです。うどんやそうめんのつゆに入れたり、なすと一緒に炒めたりとアレンジも自在。豚こま肉を使うと肉感がさらに際立ちます。
材料と作り方はこちら↓
コスパ◎食欲全開!豚こま肉のスタミナ丼
フライパン一つで作れる、簡単レシピです。豚肉ともやしにキムチ、納豆が加わることで食べ応えのある丼に仕上がります。
材料と作り方はこちら↓
さっぱり★豚肉ときゅうりの梅だれ炒め
甘酸っぱい梅だれが食欲をそそり、夏バテや食欲のない日時でもさっぱりお食べられるレシピです。
材料と作り方はこちら↓
豆苗
豆苗は年間を通して価格が安定しており、根元の再生栽培によって再収穫ができるメリットも。おいしくて新鮮な豆苗を見極めるポイントは、色鮮やかで葉っぱがしおれていないかどうかです。また、豆苗は袋の中でも成長するため、葉っぱが伸びて成長しすぎていないものを選ぶと良いでしょう。
一般に流通している豆苗の多くは、機能性フィルムを使って鮮度が保持されているため、調理する直前に根から切り落とすのがおすすめ。根から切り落とした状態で冷蔵保存することは避けてください。調理前の冷凍には向いておらず、どうしても冷凍したい時は、茹でる・炒めるなどの加熱調理後に行うことをおすすめします。
豆苗にはβカロテン、ビタミンE、ビタミンKといった脂溶性のビタミンが含まれており、豚肉の脂と一緒に摂ることで、栄養素の吸収効率アップが期待できます。ハイライフがおすすめする「豚肉×豆乳」レシピは以下の2点です。
暑い夏に!梅カツオ風味のさっぱり豚しゃぶ
豆苗を豚肉で巻き、梅カツオ風味でさっぱりと楽しめるしゃぶしゃぶレシピです。
材料と作り方はこちら↓
さっぱり!豚冷しゃぶと野菜の香味サラダ
豚薄切り肉と豆苗、みょうが、トマト、オクラをたっぷり使った冷しゃぶサラダレシピです。食べるラー油を加えたソースが食欲をそそります。
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キャベツ
一玉のサイズが大きく価格も安いキャベツは、家計にやさしいのはもちろん、どんな食材・調理法とも相性が良いのが魅力です。
新鮮なキャベツの特徴は、表面の外葉にみずみずしさがあり、手に持った時にずっしりとした重みがあること。半玉を購入する際は断面に注目し、葉の目が詰まっているものを選ぶと良いでしょう。さらに、キャベツを逆さにした時に、中央の茎が太過ぎないものの方がやわらかくておいしい傾向にあります。
キャベツを冷蔵保存する際には、2等分や4等分にして、新聞紙で包んで保管。冷凍する場合は、料理に使いやすいサイズにカットし、冷凍保存用のジッパー付き袋に入れて冷凍庫で保存します。
キャベツは加熱調理することでかさが減り、その分量も食べやすくなるため、定番の回鍋肉に加えて、キャベツの葉1枚を丸々使うロールキャベツやミネストローネなどのスープもおすすめです。キャベツを大量消費したい時には、キャベツを浅漬けにする手も。購入したその日に仕込みをすれば冷蔵庫もかさばらず、副菜であるため毎食食卓に出しても飽きずに食べられます。ハイライフがおすすめする「豚肉×キャベツ」レシピは以下の2点です。
簡単にできる回鍋肉
ご飯が進む、豚肉×キャベツの定番レシピ。豚肉に片栗粉をまぶすことで口当たりもよく、ソースのとろみ付けにもなります。
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豚肉入りで栄養満点!ミネストローネスープ
豚肩ロースブロック肉を使った、食べ応え抜群のおすすめスープレシピです。冷蔵庫の残り物野菜を加えるのもおすすめ。野菜を無駄なくおいしくいただけます。
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きのこ
きのこは工場栽培であるため、降雨量や日照時間の影響を受けず、年間を通じて価格が安定しています。購入後2〜3日で使い切るのがおすすめ。パッケージ未開封の状態で冷蔵保存する際には、1週間ほどで使い切ると良いでしょう。
冷凍保存の場合、きのこは水洗いせずに、冷凍保存用のジッパー付き袋に入れて保存します。この時、きのこの下の石づき部分は取り除き、料理に使いやすいようにほぐしてから冷凍するのがおすすめです。野菜と同様に、きのこの90%は水分であるため、冷凍したきのこは解凍せず、冷凍状態のまま加熱調理し、2週間以内に使い切りましょう。
また、きのこを天日干しして水分を飛ばし、保存性を高める方法もあります。石づき部分を取り除いてバラバラにほぐし、平たいザルなどに並べて日向に出しておくだけでOK。きのこを天日干しすることでビタミンDの量がアップするため、栄養面でもメリットがあります。
きのこに含まれるビタミンDは、健康な骨の維持のためになくてはならない栄養素です。ビタミンDは脂溶性であるため、豚肉の脂と一緒に摂ることでその吸収効率アップが期待できます。ハイライフがおすすめする「豚肉×きのこ」レシピは以下の2点です。
やみつき♪きのこ入り豚肉汁のつけそうめん
きのこをたっぷり使ったスタミナそうめんレシピです。豚肉ときのこの旨み、栄養素を汁ごと楽しめます。
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短時間で味染み!ほっとする味、肉豆腐★
豚バラ薄切り肉に下味調味料をもみ込むことで時短を実現。ほっと温まる肉豆腐レシピです。
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大根
旬は冬場ですが、年間を通じて手に入りやすい大根。大根は部位によって適した調理方法が変わるため、1本の大根を上部・中間部分・下部・先端部の4つに切り分けて保存するのがおすすめです。それぞれをキッチンペーパーや新聞紙で包み、ジップ付きの保存袋に入れて冷蔵保管しましょう。上部、中間部分は、大根おろしや大根サラダにして生で食べるのがおすすめ。下部、先端部は、煮物などの加熱料理にすると良いでしょう。
冷凍時には、みそ汁などに使いやすいイチョウ切りや短冊切りにしてからジップ付きの保存袋に入れ、冷凍保存するのがおすすめです。下部や先端部であれば、1口大の乱切りにして冷凍しておくと煮物にすぐ使えて便利です。上部をすりおろして製氷皿に入れて冷凍すれば、1ポーションずつの大根おろしが完成。好きな時に好きな分だけ薬味に使えて重宝します。
豚肉にはビタミンB群、大根にはビタミンCやカリウムが含まれ、豚肉と大根を一緒に摂ることで、疲労回復を促す作用が期待できます。ビタミンB群もビタミンCも水溶性のビタミンですので、大根は加熱せず、生のサラダや大根おろしでいただくと良いでしょう。特に豚しゃぶと大根おろしの組み合わせは相性抜群で、より効率的に栄養素を摂取できます。ハイライフがおすすめする「豚肉×大根」レシピはこちら。
味染みで美味!豚バラと大根の炊き込みご飯
切って炊くだけで簡単!豚バラ肉のコクとジューシーな大根がたまらない、炊き込みご飯レシピです。
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<そのほかのおすすめレシピ>
超簡単!ご飯が進む豚こまピーマン炒め
ピーマンはビタミンCやビタミンEを含み、緑黄色野菜の中でもコスパの良い野菜。フライパン1本でさっと作れる時短レシピで、作り置きにも最適です。
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大満足!本格ポークラタトゥイユ
夏野菜のラタトゥイユに豚肉を加えることで、ボリューム面でも栄養面でも大満足!冷蔵庫の残り野菜でも作れる、コスパ抜群レシピです。
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安価ながらも、ボリューム満点で栄養豊富な野菜は多く存在します。そうした野菜と豚肉を掛け合わせることで、栄養素の吸収効率はさらにアップ!コスパ抜群な豚肉と野菜を上手く組み合わせて、先の見えない値上げラッシュを乗り切っていきましょう。
今回お話を伺った方
大野 尚子
管理栄養士、食生活の相談室 食STEP 代表
短大卒業後、栄養士として給食会社・食品会社を経て(独)国立健康・栄養研究所にて、国民健康・栄養調査業務に携わり、全国各地での研究における食事調査を担当する。その後、特定保健指導、国立スポーツ科学センターでのトップアスリートの栄養サポートを担当。独立後は女性アスリートサポートの経験から妊娠・出産を含めた女性の健康支援、スポーツ栄養相談、NPO法人における生活困窮世帯に対する食育事業、高齢者介護予防事業、コラム執筆、講演活動を行っている。