TIPS豚肉豆知識

豚肉は健康のもと!豚肉の栄養を知って、おいしく効果的に食べよう。

タンパク質やビタミンB群などの栄養素を豊富に含む豚肉は、疲労回復や健康維持に欠かせない食材です。しかし、その一方で「お肉を食べると太る」と思い込んでいる方もいまだ少なくありません。そこで今回は、健康な体をつくる上でのお肉の重要性を解説するとともに、栄養面から見た豚肉の魅力、豚肉の栄養を効果的に摂取するためのコツについて、料理家・栄養士として活躍する成瀬紀子さんにお話をお伺いしました。

お肉は身体づくりに不可欠な栄養源 

三大栄養素の一つであるタンパク質は、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛、血液など人の体を作るために欠かせない材料です。タンパク質は、複数のアミノ酸が組み合わさってできていますが、人の体に必要な20種類のアミノ酸のうち、体内では作ることができない9種類の「必須アミノ酸」は食事から摂取する必要があります。必須アミノ酸は体内でタンパク質を作るために欠かせない栄養素であり、9種類それぞれに体を作る働きがあるため、1種類でも不足すると健康な体を保ちにくくなってしまいます。

その必須アミノ酸をバランスよく含んでいるのが「お肉」です。お肉は体を作るために欠かせない栄養源であり、適切な量を守れば食べても太ることはありません。「お肉を食べると太る」と思われがちな要因のひとつは、濃い味付けのお肉を食べることでお酒やごはんが進み、糖質を摂りすぎてしまうことにあります。余分に摂取した糖が内蔵脂肪となって蓄積されることが肥満につながってしまうのです。お肉のタンパク質を適量摂ること自体には問題はありません。「ダイエットのためにお肉を食べない」という方もいますが、それも誤りです。脂肪の消化・代謝にはお肉に含まれるアミノ酸が不可欠。すなわち、お肉を食べないと体に蓄積した脂肪は上手く燃焼されないということです。

タンパク質は、動物性も植物性もバランス良く摂取しましょう

タンパク質には動物性と植物性の2種類があります。植物性の方が体に良さそうだと思われがちですが、実は植物性タンパク質だけでは、体内で作られない必須アミノ酸を十分に摂ることができません。動物性も植物性もバランス良く摂取することによって、健康な体を作ることが可能になります。その根拠として、「タンパク質スコア(プロテインスコア)」と「アミノ酸スコア」をご紹介しましょう。

タンパク質スコア(プロテインスコア):

食物に含まれる必須アミノ酸の量を数値で示したもので、100に近い数値であるほど理想的です。卵のプロテインスコアは100、豚肉は90、大豆は56となっています。

アミノ酸スコア:

9種類の必須アミノ酸のバランスを示し、タンパク質の「質」の指標となるものです。9種類全ての必須アミノ酸が摂れていればアミノ酸スコアは100となりますが、1種類でも必要量を満たしていないと、アミノ酸スコアは減少してしまいます。すなわち、8種類の必須アミノ酸が100%摂れていたとしても、残り1種類が60%しか摂れていなければアミノ酸スコアは60に下がってしまい、その結果として、体内で十分なタンパク質を生成できなくなるのです。

こうしたことから、動物性と植物性、両方のタンパク質をバランス良く取り入れ、必須アミノ酸を十分に摂取することが重要だといえます。ダイエットのみならず、健康な体を維持するためにも、動物性だけ、植物性だけというような偏った食生活は避けましょう。

栄養面から見た豚肉の魅力

肉類の中で突出して豊富なビタミンB群

豚肉はビタミンB群を豊富に含み、その中でもビタミンB1に関しては100gあたりの含有量があらゆる食品の中でトップクラスです。鶏肉や牛肉などの他の肉類と比べても、5〜10倍のビタミンB1を含んでいるといわれます。ビタミンB1は、ご飯やパンなどの糖質を体内で燃やしエネルギーへ変えるために必要な栄養素です。ビタミンB群は疲労回復のビタミンと呼ばれることもあり、筋肉に乳酸が溜まるのを防いでくれるため、疲れやすい方やスポーツなど活動量が多い方は、より意識して摂取する必要があります。

豚肩ロース

健康な体に欠かせない脂肪

脂肪は、脂溶性ビタミンであるビタミンA 、D、Eなどの吸収を助ける、体のエネルギーになる、細胞膜やホルモンの構造を作る、内臓を守るクッションとなるといった、生命活動を支える重要な栄養素です。

脂肪の構成要素である脂肪酸は、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に大別されます。健康な体づくりのためには、飽和脂肪酸も不飽和脂肪酸もバランス良く摂取することが重要なのです。豚肉の脂肪には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の両方が含まれています。

植物性の油も動物性脂肪も、エネルギーは同じです。食べ過ぎも、全く摂らないのも生命活動をうまく維持できません。

飽和脂肪酸:

肉や乳製品などの動物性脂に多く含まれる。溶ける温度が高く、バターやラードなど常温で固まる性質を持つ。加熱しても酸化しにくい。

不飽和脂肪酸:

植物(アマニ、菜種油など)や魚(EPA、DHAなど)の脂に多く含まれる。低い温度でも溶け、10〜20℃程度の室温でも固まらない性質を持つ。飽和脂肪酸に比べて酸化しやすい。

豚肉の健康的な食べ方

健康な体を作り、維持する上で適切な豚肉摂取量の目安は、1日あたり60〜80gです。これは豚肉を毎日食べた場合の目安量ですので、その日に120g食べたのであれば、1日の中かもしくは翌日に魚や豆腐料理にするなど、摂取量を調整するといいでしょう。

食事を食べる順番として、「野菜を最初に食べると良い」という話をよく耳にしますが、これは白ごはん(糖質)を最初に食べることで血糖値が上昇するのを防ぐのが目的です。したがって、豚肉などのお肉(タンパク質)を一番に食べても健康面で問題はありません。欠食(朝・昼・夕食を抜いた)後の食事は、特に血糖値が上がりやすくなりますので、野菜やお肉から食べ始めることを意識しておいてください。

豚肉の栄養を効果的に摂取するためのコツ

茹で汁も残さず調理する

豚肉に豊富に含まれるビタミンB1は水溶性のため、豚しゃぶなどで茹でて調理をすると、その茹で汁にビタミンB1が流れ出てしまいます。そのため、茹で汁でスープを作るなど、残さず調理することを心がけるといいでしょう。

豚肉自体の脂で調理する

サラダ油やオリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸は、豚肉に含まれる飽和脂肪酸に比べて酸化しやすいのが特徴です。熱による酸化物の摂取を抑えるという意味では、豚肉自体の脂だけで加熱調理を行うのが好ましいです。フライパンに残った脂を取り除くことで、不飽和脂肪酸の過剰な摂取量を抑えることができます。

やわらかく調理する

圧力鍋などを使って時間をかけてやわらかく調理することで、成長期の子供や筋肉低下になりがちな高齢者でも咀嚼や嚥下(口の中で食べ物を飲み込みやすい形にし、食道から胃へ送り込むこと)しやすくなり、タンパク質の摂取量を確保できます。

焦がしすぎた豚肉は食べない

タンパク質は火を通すことで変性してしまうため、なるべく焦がしすぎないように注意してください。焦げは体に良いものではありませんので、なるべく食べないようにしましょう。

保存時にはラップで包む

豚肉が空気に触れることで酸化が進み、痛みやすくなります。保存時にはしっかりとラップで包み、酸化を防ぎましょう。

豚肉と相性の良い食材とおすすめ料理

最後に、豚肉と相性の良い食材と、以下3つの目的別のおすすめ料理をご紹介します。

使い方いろいろ!黒こしょうオニオンソース

美肌づくり

肌の材料はタンパク質であることから、美肌づくりのために豚肉などのお肉は不可欠です。赤・黄ピーマン、ブロッコリー、にがうり、キウイ、レモンなどに多く含まれるビタミンCが多く含まれています。ビタミンCと豚肉を組み合わせることでさらに美肌効果が高まります。必ずしも豚肉と一緒に調理する必要はありませんので、豚肉を使った食事の後にキウイを食べるなど、献立として組み合わせるのもおすすめです。

また、夏場は特に日差しでビタミンCが損なわれやすいため、ビタミンCを意識的に多く摂取することが大切です。ビタミンC、タンパク質、鉄は、体内で生成されるコラーゲンの材料にもなりますので覚えておきましょう。

筋力アップ

動物性と植物性、両方のタンパク質とビタミンC、鉄分を摂取しましょう。豆腐と豚ひき肉を混ぜてハンバーグ、肉団子にすることで、動物性と植物性のタンパク質を一度に摂ることができます。大豆とお肉を一緒に摂れるチリビーンズもおすすめです。鉄分に関しては、ほうれん草などの野菜に比べて吸収率が高いお肉で摂取するのがより効率的です。

疲労回復

豚肉自体がビタミンB群を豊富に含む、疲労回復にはぴったりな食材ですが、アリシンやクエン酸を一緒に摂ることでエネルギー代謝がアップします。

にんにく、玉ねぎ、ニラ、ねぎに多く含まれるアリシンは、ビタミンB1の吸収率を高める働きを持っており、豚肉と組み合わせることでより効果が高まります。

お酢や梅干しに多く含まれるクエン酸は、筋肉の中に溜まった乳酸の除去を促進する働きを持っています。豚肉の角煮に黒酢を加えたり、豚しゃぶに梅酢ソースをつけたりと、いつもの豚肉料理にひと手間を加えるだけでOKですので、ぜひ試してみてください。


記事監修:栄養士 成瀬 紀子さん
フードクリエーター、栄養士、料理家

オーストラリアでゲルソン療法にしたがった調理を任された経験などから、野菜 本来のおいしさや食の大切さ、色彩の魅力を知る。帰国後、それらを融合した『カラフルフーディン グ』の実践や調理指導を重ねながら体系化させる。2004 年よりカラーパワーズ・キッチンスタジオ を東京にて主宰。 『カラフルフーディン グ』の考え方を取り入れた、レシピ開発、執筆、講演、レストランメニュー開発、フードコンサルティングやプランニング、料理教室、プライベートシェフなどを手がける。家族の病をきっかけに、7年前から分子栄養学を学ぶ。

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