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日本人のために作られた、カナダ育ちのごちそうポーク
カナダの自然豊かな大地で育まれた麦と、ミネラルたっぷりの水を使い、日本人のために作られた三元豚。それがHyLife Pork(ハイライフポーク)です。品種や飼料、加工など徹底的に「日本」にこだわり、世界でも珍しい一貫生産体制のもと、日本人好みのおいしさを追求しています。
今回は、HyLife Pork Japan 社長執行役員兼CBDO,Asiaの舩越 直之さんに、ハイライフポークの特徴についてお話を伺いました。
――カナダの企業でありながら、ここまで日本にこだわる理由は何でしょうか?
ハイライフでは、生産量の約7割を日本に出荷しています。これだけ日本に注力するのは、手間ひまをかけて大切に育てた自慢の三元豚のおいしさを理解してくれるのが日本のお客さまだと考えているからです。
日本では、当たり前のように生の豚肉を家庭で調理しますが、世界的には、豚肉は加工品として店頭に並び、食べられるのが一般的です。例えば、ヨーロッパではソーセージや生ハム、北米ではベーコンなどが挙げられます。こうした加工品が作られる過程では、スパイスなどでしっかり味をつけ、加熱調理を繰り返し行うこともあるため、豚本来の味わいが損なわれてしまいます。だからこそ、手塩にかけたこだわりの三元豚の味わい、おいしさを評価してくれる日本市場に着目し、日本のブランド豚にも引けを取らない味と品質を追求し続けています。
――日本人好みの豚づくりのために、日本について日々研究されていると伺いました。
日本を最重視するハイライフの経営陣は、年に何度も来日して市場調査を行い、さまざまな日本料理を食べたり、小売店で豚肉を購入して色や香り、肉質、脂身などを確認したりと、日本人の嗜好を徹底的に研究しています。毎朝起床したら、まず一番に日本のことを考えるという経営陣もいるほど、ハイライフポークは日本人以上ともいえるくらい、日本人を想って作られた豚肉なのです。また、カナダには常に日本人スタッフが駐在し、日本人の特徴、好みなどを現地のスタッフに伝えています。
――ハイライフポークの味の特徴を教えて下さい
日本のお客さまは豚肉に対し、「ジューシーであること」「やわらかい肉質」「臭みがない」ということを求めています。ハイライフではこれらを最重要視し、品種・飼料・飼育方法などを工夫・改善しながら肉質を高めています。
さらにハイライフポークの特徴としては、脂身の融点が少し高めであることが挙げられます。よくおいしいお肉を食べるときの表現として「肉がとろける」というものがあります。もちろんそのようなおいしさもありますが、一方で食べ続けるとくどさを感じてしまうのも事実です。
ハイライフではあえて融点が少し高めにすることで、脂身をさっぱりとおいしく食べられる肉質にしています。そのため毎日、たっぷり食べても胃もたれせず、最後まで食事を楽しむことができるのです。
品種へのこだわり
――品種という点では、どんな特徴やこだわりがありますか?
ハイライフでは、「LWD」と呼ばれる三元豚を飼育しています。「LWD」は、ランドレース種(L)と大ヨークシャー種(W)との交配で生まれた雌豚に、デュロック種(D)の雄豚を掛け合わせた三元交配豚のこと。肉質や丈夫さなどそれぞれに特徴を持った3つの品種を掛け合わせることで、「ジューシー」「やわらかい」「臭みがない」という日本人好みの肉質を生み出しました。
また、ハイライフでは、肉豚を生産するために飼養される「種豚」(いわゆる母父豚)も自社で選別しています。脂のバランスが良く、旨み成分であるアミノ酸の含有量が高い種豚を採用することで、肉のジューシーさ、やわらかさを実現しています。
飼料へのこだわり
――品質管理だけでなく、飼料配合も自社で行っていると伺いましたが、どういったこだわりがあるのでしょうか?
飼料は味に大きく影響されるため、徹底的にこだわっています。まず、豚に与える飼料の原料段階から品質管理を徹底。穀物原料が届いた時点で品質検査を行い、自社基準を満たさなければ返品することもあります。
ハイライフでは、自社の栄養士による日本向けの独自飼料配合「ジャパン・プログラム」を開発しており、大麦や小麦、トウモロコシ、大豆をバランス良く配合することで、日本のお客さまが好むやわらかく、あっさりとした口当たりのよい肉質を実現しています。穀物の栄養価は収穫年によって異なることから、栄養価を毎年測定し、必要に応じて飼料配合を見直します。
――特に重視している穀物原料はありますか?
日本人好みのさっぱりとろける脂を作り出すために欠かせないのが麦です。ハイライフの養豚場があるカナダ・マニトバ州は、高品質な麦の産地としても有名で、使用する麦の品質には自信があります。実はマニトバ小麦はパン用の小麦として世界的に最も優れた銘柄ともいわれているんです。この高品質な大麦・小麦を中心に飼料配合することで、脂肪融点が少し高い、舌触りの良いあっさりとした脂に仕上げることができます。
――飼料配合に関しては、他社にはなかなか真似できない特徴があるそうですね。
豚が生まれてから肉として出荷されるまでの飼育期間は約180日間。ハイライフでは、母乳を与えて育てる2〜3週間を除いた約160日間を10段階に分け、約2週間ごとに飼料配合を変更します。一般的な生産者は3段階程度であることを考えると、ハイライフのこだわりがいかに強いかを感じていただけることでしょう。
初期段階では子豚が体内で消化しやすい飼料を与え、その後成長に合わせて飼料配合を変えていきます。肉として出荷される約60日前になると、脂をおいしくさせるため、麦の配合比率を高めます。
――飼料配合を自社で行うだけでなく、2週間ごとに配合を変更するという点には驚きます。そのほかに、こだわっている点はありますか?
さらに1ランク上の品質を追求すべく、特別プログラムとして取り入れているのが「ハーブ」です。オレガノ、タイム、シナモンの抽出物を飼料に配合することで、豚肉独特の臭みを抑え、旨みやコクが増したプレミアムブランド「ハーブ三元豚」ができあがりました。ハーブを取り入れることで病気をしにくくなり、健康的に育つという利点もあります。
加工へのこだわり
――豚肉の加工工程では、どんな特徴やこだわりがありますか?
日本へ届ける豚肉は全て、徹底した衛生管理の下で真空包装を行い、チルド配送します。おいしさと品質を保つためには「Time(時間)」、「Touch(接触)」、「Temperature(温度)」の3つのTが重要で、豚をなるべく素早く、人の手が触れない状態で加工し、温度管理を行う設備や仕組みを整えています。
また、ハイライフは対日向けの専門工場を持っており、豚肉の骨抜き作業や日本規格に合わせた肉のカット作業を行います。骨抜きに関しては、一頭ずつ骨の形状が違うことから機械化が難しい作業となりますが、ハイライフはその手間も惜しみません。
カナダの自然と飼育環境
――カナダの広大な自然環境は豚の飼育にも適しているそうですが、他国に比べてどんな点が優れているのでしょうか?
世界第2位、日本の27倍もの国土面積を有するカナダは、水資源に恵まれています。カナダは積雪量が多く、雪解け水(地下水)などの水資源が豊富です。混じり気のないクリーンな水をたっぷり与えることで健康的に育ち、臭みのない豚肉に仕上がります。
また、カナダでは、広大な土地を生かした穀物(麦、トウモロコシなど)の生産が非常に盛んです。水資源が豊富なことも関係して、アメリカに比べて干ばつの影響も受けにくく、新鮮で良質な穀物を安定的に、安く手に入れることができます。
――豚の飼育環境についてはいかがですか?
年間を通して気温や湿度が低いカナダは、暑さに弱い豚の飼育に適した環境といえます。養豚における一番の敵は病気であり、気温や湿度が低いことで、病原菌の発生や伝染病が広がるリスクを抑えることができます。また、病気は人間が運ぶ場合が多いため、人里離れた場所に豚舎があること、豚舎と豚舎に一定の距離があることはとても重要です。それは、広大な国土面積を有するカナダだからこそ実現できること。ストレスのない環境でのびのびと育つともに、バイオセキュリティの高い飼育環境が整っていると言えます。
安心・安全・高品質を実現する「一貫生産体制」
――世界でも珍しい「一貫生産体制」を築いていると伺いましたが、どんなメリットがあるのでしょうか?
ハイライフの最大の特徴といえるのが「一貫生産体制」で、種豚の開発から飼料配合、養豚、加工、流通までを自社で一元管理することで、安心・安全・高品質な豚肉の提供を可能にしています。豚がどんな飼料をどのくらい食べたか、どこで育てられたかなど、工程ごとの細かな情報を記録しており、万一何らかの問題が生じた場合でも、全工程を時系列で追える「トレースバック・フィードバックシステム」により、原因究明と問題解決を素早く行えます。
――全工程を自社で行い、一元管理するというのは、容易なことではないですよね。
この一貫生産体制を築くには、規模感とノウハウが必要とされます。飼料配合の自社工場を作るにしても、規模が小さければコストに見合わなくなってしまうため、ある程度の規模の農場や豚の頭数が必要になります。また、種豚や子豚は専門業者から購入し、あらかじめ調合された飼料を飼料会社から購入して与えるといったように、専門外のことはその分野の業者に任せている養豚会社がほとんどで、全工程を自らでこなすノウハウを得るには相当の時間と労力を要します。
――この一貫生産体制を実現させるために、ハイライフが大切にしていることはありますか?
ハイライフでは創業から25年以上に渡り、この一貫生産体制を築き上げるべく、努力を重ねてきました。会社が成長し、スタッフの数が増えることでコミュニケーションも取りづらくなるものですが、ハイライフでは各セクションが独立することなく、部門間で常に情報共有ができる体制が整っており、農場経験者を加工工場に派遣するなど、スタッフ全員が豚づくりの全行程を理解しています。このように豚づくりの幅広い知識を持ち、一貫したコミュニケーションが取れる環境が備わっていることも、一貫生産体制の実現のために必要な要素だと考えています。
――「一貫生産体制」には、規模感が必要だと伺いました。そこから大量生産や機械化など、生鮮食品にとってはマイナスなイメージを持つ方もおられると思いますが、その点についてはいかがでしょうか?
「○○さんが作ったにんじん」というように、生産者の顔が見える、少量生産の野菜に対して良い印象を持つ方は多いことでしょう。大量生産に比べて、少量生産の方が一つ一つ丁寧に作られている感じがして安心、というイメージは、野菜に限らず一般的に強いといえます。しかし養豚の場合、小規模な体制であればあるほど、品質にブレが生じたり、一頭が伝染病にかかっただけで豚が全滅したりする可能性が増えます。ある程度の規模感があるからこそ、安定した品質の豚を安定供給できるというわけです。
ハイライフは日本で流通する豚の約10%の生産を担っていることから、規模感でいえば大量生産の方に分類されますが、高品質な豚を安定供給できるだけでなく、一貫生産体制によって、生産者の顔がしっかり見える豚肉であるともいえます。
まとめ
品種、飼料、加工など、あらゆる点で他社を圧倒するこだわりを持ち、世界でも珍しい一貫生産体制の下で作られているカナダの三元豚・ハイライフポーク。豚一頭一頭に対する愛情や丁寧さ、手間ひまの度合いは、他の養豚会社には負けません。
そして、何よりも重要なのは、徹底的に日本人好みのおいしさを追求したごちそうポークだということ。日本のブランド豚に比べてリーズナブルな価格でありながら、ジューシーでやわらかく、あっさりとした脂を楽しめるハイライフポークは、いつもの食卓をちょっぴり豪華にしてくれます。輸入豚肉の常識をくつがえす三元豚・ハイライフポークのおいしさを、ぜひ一度味わってみてください。
※所属・内容は公開当時(2020年11月)のものです