TIPSハイライフポークとは?

「日本のお客さま向け」を徹底する北米の豚肉生産者「ハイライフ」とは? 後編

2012年12月に資本提携を行い、戦略的パートナーとして企業活動を行っている北米の豚肉生産者HyLife Ltd.(以下、ハイライフ)と伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠商事)。前編では、商社としての使命や方針、ビシネスパートナーとしてハイライフを選んだ理由などを伊藤忠商事 食料カンパニーの山下剛史さんに伺いました。後編では、HyLife Pork Japan 社長執行役員兼CBDO,Asiaの舩越 直之も入り、ハイライフの企業姿勢や独自の取り組みについて伺います。

――伊藤忠商事から見て、ハイライフのここがすごい!と感じるのはどんなところでしょうか。

山下さん:

前編でも少し述べましたが、ハイライフの経営陣が日本市場を徹底的にリサーチしている点です。日本人の消費者の好みを知るために、来日時にはスーパーで販売されている豚肉を食べ比べたり、消費者に直接インタビューをしたり。日本人以上に日本人を知ろうとする研究熱心な姿勢が素晴らしいと感じます。そうしたリサーチによって、当社ではできていなかった日本人の嗜好や特徴の「言語化」を実現するなど、日本市場のためにここまでやるのか?と驚きました。

――ハイライフとしては、どんな意図があったのでしょうか。

舩越:

ハイライフとして、品種や飼料によって豚肉の品質や味が大きく変わることは理解していましたので、その上でほかの外国産豚肉と差別化を図るには、まず日本の消費者がどんな豚肉を好むのかを理解することが必要だと考えました。

一般的な畜産会社や食肉加工会社であれば、豚肉を生産・加工し、商社に引き渡すところまでで業務は完了。どのように販売していくかなどのマーケティング戦略は、商社や販売者任せである場合が多いです。しかしそうなると、消費者の本当のニーズがわからないまま企業活動を続けることになりかねません。日本の消費者のニーズに合った豚肉を開発・生産するために、戦略的パートナーとして伊藤忠商事を選び、販売者(販売ルート)も厳選しています。

――伊藤忠商事から見て、ハイライフはどんな姿勢の企業だと思われますか。

山下さん:

ハイライフは、日本の情勢やトレンドに素早く反応してアクションする、柔軟性のある企業だと感じています。例えば、コロナ禍以前から、日本ではスーパー等の小売店での人手不足が課題となっています。ハイライフでは小売店側の負担を少しでも軽減するため、一次加工(豚肉のスライス、検品など)をメキシコの現地工場で対応し、日本向けに出荷する取り組みを行っています。

また、さまざまなことに積極的にチャレンジする企業でもあります。一例としては商品にハイライフのロゴをつけて販売するためのマーケティングサポートやキャンペーンを自ら計画したり、東京・代官山に自社直営のレストランを出店するなどがあります。日本の養豚農家が単独直営でアメリカやカナダで自社商品のブランドレストランを出すことを考えられるでしょうか。このレストラン事業の発想や、行動力なども驚かされることが多々あります。これらを通しての他の北米産の豚肉との差別化を図るこれらの取り組みは、日本のマーケットにかける意気込みや本気度の現れだと感じています。

――海外の畜産生産者が、日本のマーケティング活動にまで取り組むのはとても珍しいことですよね。

山下さん:

他の海外の生産者も日本にオフィスを構えていますが、その役割が全く異なります。一般的には値段交渉やクレーム処理といった実商売のサポートが中心となりますが、ハイライフはマーケティング活動にも注力していて、日々の商売+αのことを積極的に行っている印象です。

ソーセージやハムなどの畜産加工品メーカーで、日本でのマーケティング活動に取り組んでいるところはあっても、国産でも精肉や野菜などの生鮮分野でマーケティング活動に取り組む生産者は非常に稀だと思います。

舩越:

2016年9月、東京・代官山にオープンした「代官山 HyLife Pork TABLE(ハイライフポークテーブル)」は、当社のマーケティング活動の中核的存在です。一般のお客さまにハイライフポークの味やおいしさを知っていただくことはもちろん、販売者に向けたワークショップや勉強会、シェフによるレシピ提案も実施しています。パートナーシップを組み、日本のマーケットに向けて提案できる販売体制を作ってくれている伊藤忠商事の存在は非常にありがたいと感じています。

また、レストランを通して一般のお客さまの生の声を聞ける場所でもありますので、その声や売れ行きなどを分析して現地に伝えることで、より日本人の求める豚肉の味の改良にもつなげています。

――その他に、ハイライフならではといえる特徴はありますか。

山下さん:

ハイライフはカナダとアメリカにと畜加工工場を持っていますが、そのどちらにも日本人が常駐しています。現地で確認すべき事項が出てきた場合でも、現地の日本人スタッフがすぐに対応してくれますし、日本の消費者の声を現場に届けるという意味でも非常に役に立ちます。カナダの工場には日本人が4〜5名常駐していますが、4〜5名という人数は、他の海外生産者と比べてもかなり多く、珍しいと思います。

また、日本へのコミットメントの高さも、他企業との違いとして挙げられます。北米の豚肉の価格相場は変動が激しく、一般的な畜産会社や食肉加工会社は、価格が上がればアメリカやカナダ国内に売り、価格が下がれば輸出する傾向にあります。すなわち、より高く買ってくれる市場に売るということです。

しかし、ハイライフでは安定的に供給することが日本の消費者の信頼を得ることにつながると捉えていますので、価格相場が上がったからといって、供給先を北米内にシフトすることはありません。日本国内に適切な価格で安定的に提供できるのは、常に日本市場を見続けてくれるハイライフだからこそだと思います。

舩越:

養豚農家である当社にとって、豚肉を安定的に消費してくれるマーケットの存在は必須です。豚肉を主に加工品として消費するヨーロッパ市場では、加工品を生産するタイミングでしか販売できない場合もありますが、豚肉を精肉・チルドポークとして安定的に購入してくれる日本市場は、当社が正に理想とするマーケットなのです。

こだわりの豚肉を安定供給したいという当社の想いと、豚肉を安定的に輸入し日本市場に届けたいという伊藤忠商事の想いが合致しているからこそ、良いパートナー関係が築けているのだと思います。

ハイライフでは、日本が消費する部位においては生産量の80%以上を日本に出荷しています。これだけ日本市場に注力するのは、手間ひまをかけて大切に育てた自慢の豚のおいしさを理解し、評価してくれるのが日本の消費者だと考えているからです。今後も日本人好みのおいしさを徹底的に追求し、日本の皆さまに評価していただける豚肉を提供していきます。

いかがでしたでしょうか?北米を拠点とする企業でありながら、日本のお客さまのことを徹底的に考え、リーズナブルでおいしく、安全な豚肉を生産しているハイライフ。ハイライフポークは全国のスーパーで販売しています。豚のしっぽのロゴマークを見かけたら、ぜひ一度手に取ってみてください。

前編はこちら

※所属・内容は公開当時(2021年10月)のものです

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<プロフィール>

山下 剛史さん

伊藤忠商事株式会社
食料カンパニー 生鮮加工品第二部

2006年に伊藤忠商事株式会社入社、畜産部に配属。オーストラリア実務研修で牛肉を担当した後、2011年よりプリマハム株式会社に出向し、量販店/外食向けの食肉の営業を行う。2013年伊藤忠商事に復帰し、豚肉担当としてハイライフ商品の販売拡大に携わる。2017年にはハイライフ社に出向し、カナダ・マニトバ州に家族で移住。2020年より伊藤忠商事食料カンパニー生鮮加工品第二部に復帰し、ハイライフ商品を担当する。

舩越 直之

株式会社HyLife Pork Japan (ハイライフポークジャパン)
社長執行役員 兼 CBDO, Asia(チーフ・ビジネスデベロップメント・オフィサー)

2004年に伊藤忠商事株式会社へ入社。畜産部でポーク・ビーフのトレードビジネスに携わる。2012年末にはプロジェクトマネジャーとしてカナダ・ハイライフ社への出資を実現。伊藤忠商事として海外初の本格的農畜産業への進出に貢献する。

2013年よりハイライフ社へ出向・カナダへの駐在、対日向け営業バイスプレジデント・日本向け戦略担当に。

2017年末、ハイライフ社へ転職。日本代表 兼CMOとなり、最年少でカナダ本社の執行役員の一員へ。現在は、(株)HyLife Pork Japan 社長執行役員 兼 CBDO Asiaとして、ハイライフポークのブランド・マーケティング戦略、並びに販売、新規事業開発を手掛けている。

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