TIPSハイライフポークとは?

ハイライフポークの生産地、カナダ・マニトバ州ってどんなところ?

日本から遠く離れたハイライフポークの生産地、カナダのマニトバ州。今回は、マニトバ州ニーパワの工場で働く川崎僚一さんにお話を伺いました。マニトバ州はどんな場所なのか?ハイライフはなぜこの地で養豚を行っているのか?現地の人々とのコミュニティや食文化、労働環境などの情報も交えて、日本人から見たマニトバ州の印象や魅力についてご紹介します。

―最初に、マニトバ州の概要や気候について教えてください。

ハイライフの本社があるマニトバ州は「カナダのへそ」と呼ばれ、ちょうど真ん中に位置しています。州都のウィニペグはカナダ第7の都市で、古くは東部と西部を結ぶ交易の起点として栄えました。世界各国からの移民を受け入れており、さまざまな文化が交わる「多様性」が感じられる街でもあります。

くまのプーさん(Winnie-The-Pooh)の故郷としても有名で、モデルになったクマ「ウィニー」の名前はウィニペグにちなんで名付けられたものです。また、アメリカの4大スポーツであるアイスホッケーのプロチーム「ウィニペグ・ジェッツ」の本拠地で、アイスホッケーは老若男女を問わず人気のあるメジャーなスポーツとなっています。

マニトバ州の気候の特徴として夏は暑く、冬は寒いという、大きな寒暖差が挙げられます。特に冬場は日本とは比べ物にならないほどの過酷な寒さとなり、真冬は−33℃。体感温度で−50℃近くまでいくことも。州内の公園に隣接する広い川は一面が凍り、その凍った川の上を自由に散歩できることからも、いかに極寒の地であるかがお分かりいただけると思います。一方で夏の最高気温平均は26℃ほどですが、湿度が低いため過ごしやすい気候と言えます。

―夏は暑く、冬は寒いという激しい寒暖差は、人が生活するにも、養豚にも不向きな印象を受けますが、実際にはどうなのでしょうか?

確かに、人が生活するには厳しい環境といえるかもしれません。しかし、豚は気温や湿度がコントロールされた豚舎内で飼育するため、年間を通じて豚にとって快適な環境をキープできます。よって、夏は暑く冬は寒いという寒暖差は、豚の飼育自体にはほとんど影響しないのです。

しかし、マニトバ州の寒暖差は、養豚に欠かせない「飼料」や「水」に大きなメリットをもたらします。

光合成で作り出された栄養が蓄積されやすい点などから、寒暖差は穀物などの作物の生育に必要なものだといわれており、実際にマニトバ州は高品質な麦の産地としても有名です。特にマニトバ小麦はパン用小麦として世界的に最も優れた銘柄だといわれるほどです。そうした地元の穀物を使用することは、輸送コストを抑えられる上、新鮮かつ栄養価の高い飼料を作ることにもつながります。

また、豚を健康に育てるためには綺麗な水も不可欠。積雪量の多いマニトバ州は、雪解け水や地下水などのクリーンな水資源にも恵まれています。そうした栄養価の高い穀物や良質な水がすぐに手に入るため、養豚に最適な環境だといえます。

―マニトバ州で暮らす人々の印象や特徴について教えてください。

優しい人が多いと言われているカナダですが、マニトバ州で暮らしているとフレンドリーで人に優しい方ばかりだとより強く感じます。夏は暑く、冬は寒いという厳しい環境から助け合いの精神が育まれているのかもしれません。

それを表すエピソードとして、引っ越しのタイミングで大きなソファを購入した時のことをご紹介したいと思います。新居に搬入しようとしたところ、ソファが玄関ドアに引っ掛かってしまいまして。四苦八苦していたら、近所の方が「こんにちは!引っ越してきたの?手伝おうか?必要だったら旦那を呼んでくるわよ」と声をかけて手伝ってくれたことに驚きました。

現在も近所付き合いは多く、花をお裾分けしてくれたり、雪かきの際に話しかけてくれたり。日本以上に人と人との距離が近いと感じます。また、冒頭にもお話しましたが、マニトバ州は世界各国から多くの移民を受け入れていることもあり、英語が苦手な方にも優しい環境だと思います。おおらかな性格の方が多く、私が拙い英語で話しても、話を理解しようと丁寧に耳を傾けてくれます。

―マニトバ州では、豚肉はどのように販売・調理されているのでしょうか?

豚肉は、カナダ・マニトバ州でも日常的に食べられており、薄切り肉が中心の日本とは違って、かたまり肉の状態で販売されるのが主流です。

薄切りの豚肉は一般的なスーパーではほとんど扱われておらず、販売されていたとしても、日本よりも圧倒的に分厚く(約1cm程度)、1パックの量も4〜5枚程度と少ないことに最初は驚きました。豚肉のしゃぶしゃぶが食べたくなった時には、スライサーを使って豚肉を自分でスライスし、薄切り肉を作っています。日本ではなかなかできない経験ですよね。

調理方法としては、かたまり肉の状態で調理するローストポークやステーキ、プルドポークが中心です。夏になると毎週末BBQパーティーをするのが定番で、一家に一台常備されているBBQグリルで豚肉をシンプルに焼き、肉本来の旨味を楽しむのが王道となっています。

――その他に、現地で有名な料理やおいしいものはありますか?

カナダ料理といえば、フライドポテトにグレービーソースとチーズをかけた「プーティン」が有名です。現地ではマクドナルドでも販売されていますし、プーティンの専門店も複数あります。

また、マニトバ州は麦の産地なので、やはりパンがおいしいです。また、現地にはウクライナ出身の方も多く、小麦粉から作った皮で肉や野菜を包んだ「ペローギ」という餃子のような見た目の料理も街中でよく見かけます。専門店が複数あったり、家庭でも作ったりと現地ではメジャーな食べ物です。

その他には、マニトバ州には移民が多いことから、インドやギリシャ、ベトナムなどさまざまな国の料理が楽しめるのもうれしいですね。マニトバ州ニーパワにあるハイライフの工場にはフィリピン出身の方が多く在籍されていて、カフェテリア(社員食堂)もフィリピンの方が運営されています。どの料理も大変おいしいのですが、その中でも名物といえるのが、「シニガン」というフィリピン料理です。豚肩ロースのかたまり肉とトマトなどの野菜を入れた酸味のあるスープで、独特の風味と酸っぱさがやみつきになります。個人的には、東京・代官山のハイライフポークテーブルのお店とも今後コラボできたらいいなと思っています。

―ハイライフの現地工場での労働環境と、日本との違いについて教えてください。

ニーパワの工場はアットホームな雰囲気で、和気あいあいとジョークを交えながら仕事ができています。かといって仕事をサボっている人がいるわけではなく、一人ひとりが割り当てられた仕事に対して責任を持って取り組んでいます。現地の人々はそのおおらかな性格から仕事も適当なのかな?思われることもありますが、実際には結果に対するコミット意識などを含めて、日本人以上に真面目な方ばかりだと感じます。

日本の会社では根回しが大事といわれることもありますが、カナダでは結果重視です。さまざまな国の人が混在する工場ですが、人種関係なく言いたいことはちゃんと主張できる環境であり、直球で意見を言い合い、結論を出す。話をそらしたりごまかしたりする人もいないため、何か問題が発生した場合でも原因追求がスムーズに行えて解決が早い。そういった点が日本とは違うと感じます。

ハイライフの現地工場では、書面で管理する記録・確認項目が非常に多く、豚肉に関する作業の標準手順書は約200種類、トレーニングマニュアルは約300種類、生産管理・記録書面は約300種類、各従業員がどんな仕事をするかをまとめた書面は100種類以上も存在します。毎日500枚以上ものレポートが作成されており、こうした記録の仕組みを作って徹底的に管理するのが、他社には真似のできないハイライフの強みだと考えています。

先日ある設備トラブルが発生したのですが、「機械の不調時などで計測できてない時でも『記録なし』」という記録書面が残っていたことで、原因追求が迅速に行えたというできごとがありました。記録できなかったことを後ろめたく感じてごまかすのではなく、一つひとつの仕事に責任を持って真面目に取り組む社風だからこそ、お客様に安心・安全な商品を届けられるのだと考えています。

高品質な麦と豊富な水資源に恵まれたカナダ・マニトバ州で飼育された豚たちは、他社を圧倒するハイライフの記録システムの下で徹底管理され、ハイライフポークとして大切に日本に届けられています。この記事を通して、マニトバ州や現地工場を少しでも身近に感じていただけたら幸いです。ハイライフポークは日本全国のスーパーで販売していますので、ぜひ一度手に取ってみてください。

今回お話を伺った方

HyLife Foods Neepawa
川﨑僚一

2010年に伊藤忠商事株式会社入社、畜産部に配属。牛肉、豚肉の営業を経て2013年よりアメリカ ロサンゼルスに駐在し新規トレードの開発などに携わる。日本復帰後再度豚肉の営業に従事し、2019年よりハイライフ社に出向し現職。コロナ禍における日本向け豚肉の安定供給に注力する

※所属・内容は公開当時(2022年7月)のものです

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